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わたしの本棚:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)(下) 村上春樹 著
2006-11-30 Thu 11:00
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)
(1988/10)
村上 春樹

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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)
(1988/10)
村上 春樹

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これまた古いのですが。
版を重ねるごとに何度も何度も装丁が変わり、わたしが持っている文庫版とは現在は変わってます。
わたしのは上巻・下巻がそれぞれ蛍光ピンクと蛍光グリーンで、古い絵画が真ん中にレイアウトしてあるものです。
今の装丁はなんだか同じく村上春樹の「ノルウェイの森」に似ている感じ。

<システム>の<計算士>と<ファクトリー>の<記号士>が対立する近代的情報社会で、
脳に特殊な思考回路を組み込まれた[私]が、回路を開発した老科学者とその孫娘と共に自己の謎に迫る活劇「ハードボイルド・ワンダーランド」。
外界から巨大な壁によって隔絶されひっそりと静まり返った街へたどり着き、
そこで一角獣の頭骨から淡い夢を読む<夢読み>を仕事とされた[僕]の話「世界の終り」。
静と動の二つの世界が交互に織り成す物語はゆるやかに絡み合いながらどこへ向かうのか。


わたしが村上春樹の小説で一番好きな作品。
昨日紹介した「テレヴィジョン・シティ」とこの物語は二つの平行世界の境界が、
主人公によってあいまいに絡み合うという構造、静と動の対比となっている点も似ている。

世界の終り編は「世界の終り」という言葉、そのイメージがとても好きで、その「終わってしまったもの」のイメージが
ひっそりと沈み込んでいくような静かな描写が美しい。
「影」を奪われ(実際に影が自分の過去の象徴・別人格として切り離される)自分が何者であるかを忘れ、
穏やかで枯れた様に図書館で日々夢を読んで暮らす一方、失われた何かを取り戻そうと願う二律背反。
その美しい世界観はアニメ作品灰羽連盟にも受け継がれている。
分量としてはハードボイルド編の方が圧倒的に多く、そちらがいわゆる「現実世界」として進行していくのだが、
合間合間に挿入される静謐な世界が印象に残る。

ハードボイルド編は突然、放っておくと脳の回路の作用によっていずれ"世界が終わる"と告げられた<私>が
不思議な魅力の太った「ピンクの」娘と共に、東京の地下に隠された巨大な地下迷宮「やみくろの巣」に侵入し
自らに課せられた呪縛とその謎を解こうと奮闘する。
軽快なユーモアとブラックジョークはいつもの村上節。

ノーベル賞作家の大江健三郎が「自分が書くとしたら、現実世界とファンタジーをきっちり分けて書く。
双方をファンタジーで書ききるところが村上春樹のすごいところだ」というようなことをどこかで書いていて
確かにそうだな、と思いました。
元々村上春樹の作品では現実と幻想の境がシームレスに交じり合っているものが多く、
村上春樹的にはこれでもきっちり分かれているように錯覚していた(笑)。

村上春樹の入門書としてまずオススメしたい一冊です。
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