トップ画像
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告
わたしの本棚:テレヴィジョン・シティ 長野まゆみ著
2006-11-29 Wed 11:06
テレヴィジョン・シティ〈上〉 (河出文庫文芸コレクション)テレヴィジョン・シティ〈上〉 (河出文庫文芸コレクション)
(1996/07)
長野 まゆみ

商品詳細を見る

テレヴィジョン・シティ〈下〉 (河出文庫文芸コレクション)テレヴィジョン・シティ〈下〉 (河出文庫文芸コレクション)
(1996/07)
長野 まゆみ

商品詳細を見る

古いものから新しいものまで、本棚にある本でオススメのものを並べてみたり。

ぼくらはやがて、碧い惑星(あおいほし)をめざす

敬愛なるママ・ダリアへ。
少年アナナスは<環の星(わのほし)>と呼ばれる<<ビルディング>>から
パパとママが住むという碧い星に手紙を送る。
同居人で同じ<<生徒>>である少年イーイーは碧い惑星はないし、パパやママなどいないと冷笑する。
窓のない閉鎖空間である<<ビルディング>>に無数にあるテレヴィジョンは遠い碧い星を映し出す・・・。


間違いなく長野まゆみの最高傑作だと思う。
宮沢賢治を愛する作者の文体は、独特の硬質な繊細さをもっていて美しく、
萩尾望都系の古き良き少女マンガSF作品の匂いがする。
そして河出書房は装丁が美しい。

必要最小限の身の回りのものしか持たない人々が暮らすビルディングに
なぜ大量のダスト・シュートがあるのか?
人々は何を捨てているのか?捨てるものがなくなったら最後に何を捨てるのか?
大勢の人々が暮らすはずのビルディングは"生活の匂い"がまったく感じられない。
テレヴィジョンが絶えず映し出す映像と音声は一致せず、
繰り返し映し出される少年アーチィの夏休みの光景は、蜃気楼のように現実と虚実で揺らいでいる。
不可思議な少年達。味覚のないアナナス。
静かに崩壊する世界。そして、碧い惑星へ・・・。

この人の作品には人の「認識」とは何か?自己と世界の「境界」とは何か?
といったものが間接的に繰り返し描かれ、読んだ後に漠然とした不安感が残ることがある。
一人称で描かれる物語で、その主人公の「認識」が絶対的普遍のものではないとしたら?
さらに登場人物の複数の人間の「認識」が揺らいでいたとしたら?
長野まゆみは作品の中で「誰が正しくて、誰が間違っているのか」の答えを出さない。
それは世界は正しい・正常である、間違っている・異常であるという区分ではくくることなど出来ないからかもしれない。
スポンサーサイト

| コメント:0 | トラックバック:0
<<わたしの本棚:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)(下) 村上春樹 著 | 立体鳥類模型店 | 今読んでいる本:真相 “切り裂きジャック”は誰なのか?(下) パトリシア・コーンウェル著>>
この記事のコメント
コメントの投稿
| 立体鳥類模型店 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。